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挑戦的なテーマを描ききった「オッペンハイマー」

あらすじ

映画「オッペンハイマー」は、原爆開発を主導した物理学者ロバート・オッペンハイマーの人生を中心に、マンハッタン計画の内幕を描いた作品です。第二次大戦下での核兵器開発は歴史上非常に重大な転換点ですよね。そのとき当事者だった科学者たちの葛藤や、世界を巻き込む戦争の現実が重くのしかかるストーリーになっています。

理論物理学が一気に軍事利用へと進む過程と、オッペンハイマー自身が抱える道徳的ジレンマが絡み合うため、単なる戦争映画とは異なる深いテーマが堪能できる作品といえます。核兵器が完成したあとの展開も容赦なく描写されており、観終わったあとの余韻はかなり重たいかもしれません。

映画を見ての感想

この映画を観ると「人類が手にしてしまった核の力は、果たして正しかったのか?」と強く問いかけられる気がします。オッペンハイマーをはじめとする科学者たちは、「理論を実証したい」という学問的熱意で動いている部分がある一方、戦争の戦略として使われることに対する迷いや抵抗感も感じているのです。
映像面では核実験のシーンがとても印象的でした。演出がリアルなので、こちらも息をのむほどです。音響演出も巧みで、爆発や振動を身近に感じるような迫力でした。実際の歴史を知っているだけに「こうやって開発が進んでしまったのか…」と痛感しますし、日本人としては複雑な気持ちが拭えないですよね。

ストーリーとしては科学者同士の議論や軍との協議が多く、専門用語や歴史的背景をある程度知っていないと難解だと感じるかもしれません。でも、その部分こそが作品の奥深さでもあります。人物同士の軋轢や政治的思惑を丁寧に追うと、「この局面でこういう決断がされたのか!」と驚く場面が多いです。

評価と見どころ

賛否を呼ぶテーマなので、好意的に受け止める人もいれば「扱いきれていない」と感じる人もいるでしょう。核兵器開発に関わる物語なので、被害者側の視点が少ないと不満を持つ人もいるかもしれませんが、映画としては「開発者の内面」に焦点を当てている印象です。
見どころはやはりオッペンハイマー自身が抱えるジレンマでしょう。科学者としての達成感と、破壊のための兵器を作ってしまった負い目。そこに軍や政治家の思惑が交錯し、「どうしてこんな世界になってしまったのか」という後悔がにじみ出ているのが痛々しくもあります。「科学の進歩は常に人類を幸福にするか?」という問いを強く残している作品ですよね!

まとめ

「オッペンハイマー」は、核兵器という極めて重いテーマを正面から描き、そこで揺れ動く科学者や政治家の姿を通して人間の業を浮き彫りにする挑戦的な映画だといえます。歴史的事実を知っているからこそ余計に、観終わったあと心に残るものがあるはずです。
本作をきっかけに、マンハッタン計画や第二次世界大戦の背景を改めて調べてみるのもいいかもしれません。映画をエンターテインメントとして楽しむだけでなく、自分の価値観や平和への考え方を振り返る機会になるのではないでしょうか。「気楽には観られないけれど、観ておいて損はない!」、そんな印象的な作品ですよ。